君のそばに
グラウンド全体が悲鳴を上げた。
何の事……?
何が起こってるの………。
私はまるで心がどこかに飛んで行ってしまった人形のように、
ただ連れられるがままゴールテープを切った…。
抵抗する余裕なんてなかった…。
嘉賀くんが私を好き……?
皐月に前々から言われていて、心構えが出来ていたはずなのに……
だめだ……
状況が飲み込めない……。
何で…私なの……?嘉賀くんを好きな人は山ほどいるのに……
どうして………?
すると今まで掴まれていた腕が開放された。
掴まれていた所が赤く、痕がついていた。
嘉賀くんは今度は私を直視せず、目線を下に向けて言った。
「…いきなりで……悪かった…。
でも気持ちに嘘はないから……。
オレは伍棟が
ずっと好きだった…。」
しかし私はそう言われた瞬間、
何も言わずに一目散に逃げ出したんだ……。
何、逃げてんの…私…。
逃げたら駄目だ、って柚にも言われたのに……。
嘉賀くん……困るよ……。
そんな事言われたら……私…何て答えたらいいの………。
自分の気持ちが分からない…。
私は嘉賀くんの事をどう思っているのか……。
私はどうしたらいいのか
分かんないよ……。
…誰か………教えて……。