君のそばに
そしてすぐに騎馬戦がやって来た。
みんな、あれから何事もなかったように、ただ純粋に体育祭を楽しんでいた。
私は明らかにそんな気分になれるはずがなかった。
不安で仕方なかった騎馬戦がいよいよ始まるし、
何より嘉賀くんからの告白が今だに、ズシッと私の気持ちを重くさせている。
そんな、みんなみたいにすぐ切り換えられられるほど私は器用じゃない。
しかもみんなはただの野次馬でそんな私の気持ちなんか知らないし、関係ない。
だからこんなに私は心苦しいんだ……。
騎馬戦の召集場所に行くと、私はどこぞの有名人になったかのような錯覚を得た。
ヒソヒソと聞こえるか聞こえないかくらいの言葉で囁かれ、全身くまなく見られた。
がっかりさせて悪かったね!こんな容姿で。
私だって分からないよ。何で私なのか……。
悪いけど一番納得出来てないの、多分私だから!
あ〜……本当に嫌だ…。こんな気分でやる気が起きるわけないじゃん。
そして人込みを掻き分けながら、黒い髪のポニーテールがやって来るのが目に入った。
…それを見て私はここにもう一つ、問題点があったことを思い出したのだった。
そのポニーテールは視界が人で遮られているのにも関わらず、まっすぐと私を目指している事が分かった。
まるでカーナビでもついているような正確さだ。
そして人ごみから抜け出し、私の前に現れたのは
清水さん…。