君のそばに
「あの……話って何ですか…?」
あまりの怖さに口調が敬語になる。
「単刀直入に言うけど、伍棟さん、あなたは千春くんの事をどう思っているの?」
「…どう…って……言われても…。」
「簡単な事でしょ?好きか嫌いかを聞いてるだけなんだけど?」
いつもと口調が違う…。
あまりの清水さんの豹変ぶりに私はたじろいだ。
好きか嫌いか……。
別に嘉賀くんの事は嫌いじゃない。でも好きか…って聞かれたら…。
友達としては好き……だと思う。…でも恋愛感情とは…違う……。
「清水さんは…?」
私はその答えを知っていながらも、話を私から逸らすために敢えて聞いてみた。
「私は千春くんが好きよ。」
清水さんは即答した。
話…逸らそうと思ったのに…………失敗…。
「…それで伍棟さん、あなたはどうなのかしら?」
話の矛先が自分に返ってきたよ…。
どうしよう…。好きか嫌いかで答えなきゃいけないの…?
私が返答に困っていると、それを察したように
「じゃあ少しずつ質問するわ。
伍棟さんは千春くんの事、嫌い?」
そう言った。
…うーん……嫌いか…って聞かれると……
「別に、…嫌いではないけど……。」
これは尋問ですか…?絶対に答えなきゃいけない事なの?
そりゃ、嘉賀くんを好きな方としては気になる事だと思うけどさ…。
「じゃあ好き?って言ったら?」
清水さんは表情を変えず、2つ目の質問に突入した。
…というか、…たださっきの質問を分解しただけだよね……。
結局のところ、そこが知りたいのか。
でもこうやって単品で聞かれると、まだ答えやすいかもしれない……。
と、少々悩みながらも私は口を開いた。
「うーん……友達としては、好きかもしれないけど……。」
「じゃあ恋愛とまではいかないのね。」
「………うん。」
そう、私が返事をした途端、清水さんの表情が一変した。
…あの……優しい笑顔……。