君のそばに
5.避暑地

体育祭が終わり、私の平凡な生活が戻ってきた。


普通に授業を受け、普通に部活に行った。


部活では体育祭の絵がかなりの好評だった、と武藤部長が鼻高々に話していた。

そりゃ、あれだけみんなで死に物狂いで頑張ったんだもん。それ相応の評価があってもおかしくない。


…なんて、冷めた独り言を言ったら部長に怒られた…。
本当、そういう所に敏感なんだから。



それと体育祭の時から清水さんが何かと話しかけてくるようになり、柚は何だか嫌そうにしていた。


私は別に嫌だと言うわけではないんだけど、私の中ではやっぱりあの”お願い”を受けたことが気になっていた。




どうして絶対、嘉賀くんの事を好きになるんだろう……。



そんな疑問を抱えていたけど、あれから嘉賀くんとも会わないし、よく教室まで取材に来ていた報道委員会の人たちも来なくなった。


だから、大して気にしなくても大丈夫だと思っていた矢先の出来事だった……。





「別荘!?」


「そ!テストも終わった事だし、夏休みにオレん家の別荘にみんなで来ない!?」


学期末が終わって私たちは息抜きにどこかに行こうか、と計画していたところだった。

私としては金銭的にピンチ気味だったから1泊旅行みたいなのは難しい。
そう言ったら、実春がグッドアイデア!と言ってそう提案したのだ。



「うちの別荘だったら金は一切かかんないし、そこらのホテルよか全然いいと思うよ。」


”お金がかからない”



私はその言葉に妙な魅力を感じ


「行く!」


そう言ってしまった……。




でも言った後で後悔した。





実春の別荘だったら嘉賀くんも来るじゃん!



しばらく会わないようにしてたのに、これじゃ意味ないよね…。


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