君のそばに
2人の話を聞いてると、本当に嘉賀くんって人気なんだってことが分かる。
でも逆に嘉賀くんの弟である実春に人気がないのは、何故?
人気がないはずは、多分ないと思うんだけど、嘉賀くんは超えられないだろ、あのキャラじゃ。
でも、ひそかにファンクラブとかありそうだよね。
『実春クンを応援する会』
…なんてネ…(笑)
自分で考えといて何を応援するのか、よく分からないけど…。
無意識のうちに自分の世界に(やっぱり)入ってしまった私を物凄く冷めた目で皐月に見られていた。
そんなこと、私は気付くわけなく…。
「何、笑ってるんですか…?」
「へ…?」
「また別のこと考えてたんでしょう!顔、にやけてましたもん!」
皐月は口をへの字に曲げて怒った。
自分だって、話が脱線したくせに。
「本当に先輩って緊張感がないんですから〜。
いいですか?私が言いたいのは、
もっと先輩が自分自身と向き合って今回のことを考えて欲しい、ってことです!
先輩が元から実春先輩を好きだったんなら、それはそれで仕方ないですけど、
告白って、物凄く勇気がいるんです。あの嘉賀先輩だって、絶対緊張してたと思います。
その気持ちを分かって欲しいんです。」
そう皐月は言うと、顔を少し歪ませ俯いた。
…そっか…。
そうだよね…。
私、本当に自分のことばかりで、人の気持ちなんて全然考えてなかった。
嘉賀くんって、私なんかとは比べものにならないほどすごい人だから、緊張とかそういうものって感じないものだと思ってた。
…それに実春だって勇気を出して、告白してくれたのに、…こんな適当な感じで付き合うのって、やっぱり失礼だよね…。
皐月は私よりも年下なのに、そういう人の気持ちが分かってあげられるのって、すごい。
皐月の言うとおりだ。
私が無神経すぎたのかもしれない。