君のそばに
* * *
「ハァ〜…。
無神経かァ〜…。」
その翌日の4限終了後。
私は机にグテ〜と体を預けながら、呟いた。
悩んでいるせいか、何だか疲労が増した気がした。
「何が無神経なのよ?」
と、柚が財布片手に私の隣の席に座った。
今日は実春は生徒会の集まりがあると言って、授業が終わった後、教室を出て行った。
…もちろん、清水さんも一緒にではないけど、生徒会室に向かったようだ。
「ん〜…。今さらながら、自分の気持ちがよく分からないんだよね〜…。」
「…自分の気持ち…って、実春と付き合ってて良いのか、ってこと?」
「う〜ん…。」
すると、柚は財布を持っていないほうの手を私の方に伸ばして、
「とりあえずガクレス行こう。そこで話聞いてあげるから。」
”ガクレス”とは学内レストランのこと。
柚はそのために財布を持っていたのだろう。
掴まれた腕を強く引っ張られ、私はそれに従うように立ち上がった。
「あんたって本当に悩むのが趣味って感じよね。」
ガクレスに連れてこられて早々柚がため息混じりに言った。
「う…。」
私は言葉に詰まった。
その指摘が的を得ていたからだ。
…考えたら夏からずっと悩んでるんじゃない?私。
”悩むことって、常に解決しない事柄が頭の中を駆け巡っていて、改善させるために、言わば、そのことを考えてる、ってことなんだよな。”
ふと、別荘で実春に言われたことが頭をよぎった。
”…沙矢の頭の中では、常に千春のことを考えている。”
”千春だけじゃなく、オレのことも考えて欲しい…。”
望み通り、私は実春のことを”考えて”るよ。
でも、どうしたらいいのか分からない。
このままでいいのかな?
いくら考えても答えなんか出てこない。