君のそばに
私は手を合わせて、食べ始めた。
いつもなら10分くらいでペロッとたいらげられるのに、
今日は体調が不良な為か、思うようにのどを通すことが出来ない。



「鼻声のようだけど、学校は行きなさい。」



と、母はそれだけ言うと、新聞をたたんで席を立った。



「はい…。…ズズッ…。」



私は鼻をすすりながら頷く。




別に期待をしていたわけではないが、
もう少し労りというものを持っても罰は当たらないんじゃないか…


と私は、母の背中を恨めしそうに見つめながら思った。





それから、母は慌ただしくバタバタと走り回り、
急がないと、と呟きながらネグリジェからスーツへとコスチュームチェンジをした。




母の仕事というのは
大学の教授

らしい…。


実際はよく知らない。



知らない、というのは

前にお手伝いさんに聞いた時に、

<古文書の読解やら何やらをやっている、何とかっていう大学の教授>

と、アバウトな返事が返ってきたからだ。



しかし、これを聞いたのは私が中学生の時だから

本当に教授だったとしても、
まだやっているかは定かでない。



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