君のそばに
柚は室内に入ろうとしていたが、何かを思い出したようにすぐ後ろに振り向いた。



「次、経済だよ?あんたの大好きな!」



「大好きじゃないから!むしろ大ッ嫌い!」



「アハハ、わかってるから」



私の怒る姿に笑い声を上げる柚。
もちろん、本気で怒っていないこともわかっている。


そして、柚は私の顔を心配そうに覗き込んだ。



「どうする?顔色良くないし、保健室行ったら?」



「うん…。そうしようかな」



「じゃあ授業ノート、後でコピーしてあげるから」



「ありがと」



柚がニコッと笑って戸を閉めると、それと同時に私は向きを変え、保健室に向かった。



授業を休むというのに何故か私の気持ちは弾んでいる。


経済は特に難しくて風邪をひいていなくても頭痛を起こさせる、私の大嫌いな教科の一つ。


この状態で授業を受けたら
間違いなく私は死ぬ。

まぁ、死ぬなんて少し大袈裟ではあるけど、自分の体調のことを考えると出ない方が良いだろう。



そして、私は保健室の前にたどり着き、ゆっくりと戸を開けた。

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