君のそばに
そこへ、私の背後で嘉賀くんに熱い視線を送っていた皐月がとろけそうな甘い声を出した。



「はぁ〜…嘉賀先輩だぁ〜…
すごいカッコイイ……!」



はっ!?

どうしたの?皐月??



「カッコイイ!?何で!?
ていうか、嘉賀くんってそんなに人気だったの!?」



私がそう言うと
嘉賀くんに向けられていた皐月のアツイ視線が、別の意味でアツイ眼差しに変わった。



「ええっ!?あの嘉賀先輩ですよ!?大人気に決まってるじゃないですか〜!!」


世界共通の常識よ!とでも言うように皐月は言い放った。


「そうなの?全然知らなかった」



「実春先輩から聞いてないんですか!?いつも一緒にいるのに?!」


いや、別にいつも一緒にいるわけじゃないんだけど…
いたとしても実春がそんな兄貴自慢するかな〜……



皐月は私に話す間を与えないつもりなのか熱弁し続けた。


「いいですか!?IQ200にしてあの容姿!!人より長けた才能を持ちながら、それを自慢するわけでもない!!」



へぇ〜…



「それに知ってますか!!?
今年のバレンタインに貰ったチョコが500は越えたそうです!!他校のお嬢様からも100コは貰った模様!!噂では女性教員からも貰ったようです!!!」



模様…って、天気予報かッ!!

それにしても、よく知ってるな!柚以上の情報通かも。
それにしてもどこで調べたんだろ?…ん…?…皐月…あんた、もしやストーカー??



「頭も良く、顔も良い!それでいて運動神経抜群にしてお金もちで……ッ!…キャアアアア!」


と、話の途中でいきなり皐月が叫んだ。
私はあまりに驚いて、瞬間的に肩が浮き上がった。


何だ何だ!!?
びっくりした〜!いきなり叫ばないでよ!



「嘉賀先輩〜〜!!!」


皐月は目をハートマークに変えて、更に叫んだ。もう私なんか無視だ。

いや、皐月だけじゃない。
私を除く女子部員全員が叫んでいる。室内はもうコンサートホール状態だ。

それが壁を反射してキンキンと響く。かなりうるさい。

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