君のそばに
え…?
私は戸惑いと少しだけ恐怖を感じながら清水さんを見つめた。
何で…
清水さんはそんな目をしているの?
私、何かしたのかな…
私は内心焦っていた。
あの優しい清水さんが私に対してここまで豹変するってことは私が何か清水さんにしてはいけないことをしてしまったんだ。
その私の気持ちを察したのか嘉賀くんが口を開いた。
「何?」
嘉賀くんが短文だけど言葉を発したのに、周囲の女子部員は決して騒がなかった。
その清水さんから発せられる妙な威圧を感じたからだろう。
「ここにいると思ったわ。千春くんはそうだものね。」
「………。」
嘉賀くんは清水さんをチラッと見る。
え…?
私には清水さんが言ったことが何を意味しているのか分からなかった。
「……先生が呼んでたわよ。」
清水さんは眼差しと同じような冷めた口調で言った。
「ああ、分かった。」
嘉賀くんはその場で立ち上がり
「じゃあな、伍棟。」
そう言って部屋を出た。
女子部員たちは引き止めたいけど、それが出来ない事に苛立ちを感じているようだ。
まるで身分が違うとでも言うように。
なので、少しでもその姿を記憶するかのように瞬きせず、じぃっと見つめていた。
もちろん、皐月も息を止めているんじゃないかというくらい真剣だ。
清水さんは嘉賀くんが部屋を出ると、それに続くように部屋を後にした。
その際、清水さんは私の後ろに構える下絵を見たのは
私の勘違いだったんだろうか…。