君のそばに
「私、あの先輩苦手です」
嘉賀くんたちが去ったあと、部活は再開され、私たちはまた下絵を描く作業に戻る。
皐月は私の隣に座ってそう言った。
あの先輩…?
「それって、清水さんの事?」
「他に誰がいます?」
皐月はギロリと私を睨んだ。
いや、そう私を睨まれても……。
でも、何で清水さんが苦手なんだろ?
確かに普段からさっきみたいな態度だったら苦手意識は持つかもしれないけど。
実際、私も教室で会った時は少し怖かったかも…
「何で、そう思うの?」
一応皐月に聞いてみた。
「だって酷いんですよ!私が友達と一緒に嘉賀先輩の出待ちをしてたんです!」
出待ち……
…そんなことまでしてたのね…
「嘉賀先輩に挨拶をしただけなのに、清水先輩が
”道を開けてください。うっとおしいですよ。”
なんて言ったんです!!
もう、腹が立ちました!!」
皐月は右手に持つシャープペンを今にも握り折りそうな勢いで言った。
「確かに、道を塞いじゃったのは悪いと思いましたけど…
清水先輩は嘉賀先輩のマネージャーですか、って言いたくなる…。」
皐月は自分で反省してみるも、納得していないようだ。
うーん、確かに話を聞いてると普段の清水さんのキャラじゃ言いそうにないかも…。
「ただ単に、機嫌が悪かっただけじゃないの?」
「先輩は知らないんですか?」
皐月は目を真ん丸にし、いかにも私が時代遅れだと言わんばかりの言い方をした。
「何が?」
「清水先輩、嘉賀先輩の事が好きなんですよ?」
…………。
「えぇぇーーーッ!!?」