君のそばに
次の日
あれ以来、私の頭の中はあの事がグルグルと回り続けていた。
あの事とは、皐月が言っていた嘉賀くんが誰に会いに来たか、っていう話…。
鈍感な私だけど、そこまで言われれば誰だか分かるよ……。
……私…って事だよね………。
何でみんな分かるのかな〜…。
【女の勘】ってやつ?
そんな勘、私は持ってないよ!どうやったら習得出来るの?
私、嘉賀くんを意識しすぎて前みたいに接する事は出来ないかも………。
恋の一つはこの私でもしたことある。
でもその恋は私の一目惚れで、外見だけを見て好きになったのかもしれない。
つり上がり気味のキレ長の目。
髪は短く切り揃え、ツンツンとワックスで尖らせている。
そして一緒にいると、フワッと良い匂いがするんだ…(変態発言)。
でも性格は最悪で、
それを知った瞬間、私の中の彼のイメージはガラガラと音を立てて崩れ去った……。
要するに都合がいいんだよね…。
外見だけで勝手に理想を押し付けて、それが違った途端、落胆するなんて。
自己中心的なんだよ。
それ以来、私は恋をする事をためらっている。
その人と深く関わる事で自分の中のイメージが壊れる事を恐れているんだ…。