君のそばに


「今から下絵を書き直す!体育祭まで、もう時間がない!みんな、一からやり直しだ!」



私は部長のその言葉に絶対ブーイングの嵐が沸き起こると思っていた。


しかし私の予想は外れ、部員たちは”はい!”と元気よく返事をして動き始めた。


わ〜お……!さすが鶴の一声…。部長には誰も逆らえないもんね…。



そして部長が私の方に振り向いた。


「伍棟さん、この事を体育祭委員の担当教員に伝えて、新しく下絵の板を貰って来てくれないか?」


「あ、はい!分かりました!」


私はそう言うと急いで部屋を飛び出し廊下を走り出した。




ドンッ!



しかし、右に曲がろうとした瞬間、私は誰かにぶつかった。

その拍子に私はその場に尻餅をついた。


「いたた〜……!

す、すいません!急いでたもので……」


私は体制を整えながら、ぶつかった人物を見た。



「いや、こっちこそよそ見していた。
立てるか?」



「…か、嘉賀くん…!?」





出来ることなら会いたくない人物その人がいたのだ…。




< 94 / 185 >

この作品をシェア

pagetop