君のそばに
「今から下絵を書き直す!体育祭まで、もう時間がない!みんな、一からやり直しだ!」
私は部長のその言葉に絶対ブーイングの嵐が沸き起こると思っていた。
しかし私の予想は外れ、部員たちは”はい!”と元気よく返事をして動き始めた。
わ〜お……!さすが鶴の一声…。部長には誰も逆らえないもんね…。
そして部長が私の方に振り向いた。
「伍棟さん、この事を体育祭委員の担当教員に伝えて、新しく下絵の板を貰って来てくれないか?」
「あ、はい!分かりました!」
私はそう言うと急いで部屋を飛び出し廊下を走り出した。
ドンッ!
しかし、右に曲がろうとした瞬間、私は誰かにぶつかった。
その拍子に私はその場に尻餅をついた。
「いたた〜……!
す、すいません!急いでたもので……」
私は体制を整えながら、ぶつかった人物を見た。
「いや、こっちこそよそ見していた。
立てるか?」
「…か、嘉賀くん…!?」
出来ることなら会いたくない人物その人がいたのだ…。