君のそばに
「………。」


それからもやっぱり会話がない。

私と嘉賀くんは職員室に続く廊下をただ無言のまま歩き続けた。


2人の足音だけが一定のリズムを保って響いている。
それが妙に心地良かった。



職員室に行き、板を貰い、それを嘉賀くんと2人で持つ。


正直言って、これを一人で持つっていうのはキツイ。
厚さは薄いけど長さがあるから、一人だと不安定だしかなり重いだろう。


私、考えて行動してなかったな。








ん…?待てよ…。






そういえば部長は最初から私一人だけに頼んだ。

”皐月と一緒に”とか”他の部員も手伝って”とかなかったよね……?

それに気付かなかった私もバカだけど、



もしや、部長に仕組まれたってわけ!?


くそ〜!やられた〜!!


…って事は、本当に気付いてなかったのは私だけ!?
【女の勘】とか関係ないんじゃん!!
あ〜!何か悔しいかもっ。


完全に私の気持ちを無視した企みだよね。私の気持ちはどうでも良いっていうわけ?




私はいつものように一人の世界に入り込み、あれやこれや疑問提議をし、それに対する一人議論をしていた。



それがやっぱり顔に出ていたのか、嘉賀くんは笑い声を零した。


「伍棟って、昔から変わんないよな。そういうところ。」



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