君への距離~クリスマスの奇跡~
―7時間前





ギイィ…




リサがキッチンに立っていると玄関のドアがおもむろに、どこか遠慮がちに開いた。




そしてゆっくりと静かに侵入してくる男、




「…翼くん?」




リサの声にギョッとして顔を上げる翼。





「え?あれ?…リサちゃん?」




「あ…中塩くんなら、まだ寝て…」



「うん、知ってる」

翼はニヤリと笑う。

シオがこんな早くに起きるわけないってこと。





翼はシオが眠っている部屋にそっと入ると机におかれた車のキーを自分のデニムのポケットに忍ばせた。






「早く起きろよ…」


爆睡するシオを見ながら翼はそっとつぶやく。



「リサちゃん、…いるだろ?」









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