君への距離~クリスマスの奇跡~
―穏やかな微笑みを零して彼はこの部屋をあとにした。
出て行ってしばらくすると車のエンジン音が聞こえてきてピンときた。
「せっかくクリスマス…って、
教えてあげたのにな…」
不器用な彼は、
案外、ロマンチストなのかもしれない。
「車まで盗まれちゃったね…」
あなたがまだ眠る部屋を見つめて。
「車はかえしてくれるけど、」
―あの子はかえしてもらえないから。
クリスマスプレゼント…
何が欲しいって、どうしても聞けなかったんだ。
遠くなっていくエンジン音に、
ただ
ほんのささやかな
小さな
あたしとあなたの、
あたしとあなたにとって大切な親友の、
幸せを願った。