君への距離~クリスマスの奇跡~



「ん?なんやこれ?」





シオは机におかれた細いカギを見つけた。



それは明らかに…






「自転車のカギ!?」




シオは呆れて、リサは可笑しそうに笑った。






「あのバカぁ~!!」




リサは自転車のカギを見つめながら意を決して言った。





「あ、あの…」




「ん?」





「た、卵!!」






「卵?」







「朝ごはん作ってたんだけど…卵足りなくて…」





「ああ、了解!じゃあ俺行ってくるわ。

チャリやからちょっと時間かかるけどな」




「じゃなくて!」



「?」




「あたしも、い…一緒にいくの!後ろ…乗って…」




―サンタさん、この嘘は見逃してください!


卵、十分足りたんだけど…





「どっかの中学生カップルみたいやな!」

シオは笑いながら、カギを掴んで立ち上がる。




「よっしゃ、行こか」











―ああ、





今朝の泥棒は、サンタさんだったんだ。


思ってたよりもだいぶ若くて、爽やかでかっこいいや…








夢みたい!

ありがとう、サンタさん!





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