君への距離~クリスマスの奇跡~
クリスマスの奇跡
「高速ってすごいね!もう広島だって♪」
カーナビに出てきた地名を見て杏は関心したように言った。
『この先1キロメートルにオービスがあります。注意してください。』
「はい!」
「杏ちゃん、カーナビとしゃべってる…」
翼はクスクス笑う。
「ほらほら笑ってないでオルビスに注意して!」
「?」
「…?」
「……オービス?」
「ぅあ!!!」
「何?どしたの?」
「ほら!街が見える…」
杏が指さす方を視線で辿れば、そこには知らないない街並みが見えた。
「ほんとだ…車ってすごいな」
翼も関心したように言った。
「違うよ!
翼くんがすごいんだよ!」
―そう言って微笑んだ彼女を見て、
ああやっぱり、間違ってなかったと思った。
嬉しくなって、
でも少し照れくさくって、
僕はそのまんまの猛スピードでオービスの横を通り過ぎた。