君への距離~クリスマスの奇跡~
『ちょっと外行こう』
―どこがちょっと!?
翼は無言のまま車を再度走らせていた。
杏は不思議顔で翼を見つめる。
先ほどから海岸沿いの細い道を翼はキョロキョロしながら車を走らせていた。
―海?
「ねぇ、翼くんどうし…」
「ここ!!」
「はい?」
「ここにしよう!杏ちゃん、降りよう!」
支離滅裂、意味不明な翼の言動に苦笑いしながらも
「うん!」
と答え杏は車を降りる。
翼について海岸に降りていくと、そこは砂浜になっていた。
どこか、よく行くあの知多の海に似た感じの景色だった。