君への距離~クリスマスの奇跡~






「島根はね~シジミ汁とノヤキが有名やけん、食べてき!」





「「いただきます!」」






今村家全員で島根名産品を頬ばる2人をニコニコ見守る。









「あ!先輩、話って何なんスか?」




健二が唐突に言った。







「…あ!」





翼が箸を持つ手を止める。






「話?」



杏は翼の顔を覗き込んだ。








「あの…







肩の手術の件、本当にありがとうございました!」






翼は真剣な顔で言った。




きっとすべてはこの瞬間のためだけに島根に来たような気さえした。




杏は微笑んでそれを見つめる。







「来年から東京の実業団で野球を続けます。







ずっと、続けます。」









翼は強い眼差しではっきりと言い切った。










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