君への距離~クリスマスの奇跡~
「ありがとうね…ありがとうねぇ」
気づけばおばさんは肩を震わせて泣いていた。
「ケン…イチのこと、
背負わせたんじゃないかって…
プレッシャーになったんじゃないかって…
思っててさ…」
「お袋…」
健二はそっと母の背中をさする。
「プレッシャーも何も…
ケンは今も昔もずっと、
一緒に戦ってます。」
翼はそう言って微笑んだ。
「ケンイチの代わりとして
君を見たことがないと言えば嘘になる。
ただ、今は
心から君を
君の旅立ちを応援したいと思っている。」
これまでずっと黙っていたおじさんもそう言って笑った。
窓辺から白雪に日差しが乱反射した光が差し込み
みんなを照らした。
ただ、
どうしようもなく、
白かった。