君への距離~クリスマスの奇跡~
「ひとりじゃないからね!
みんなついてるからね!
じゃ、おやすみなさい!」
翼は天井をあおぐ。
「ヤバい、
泣きそう…」
こんなとき電話で良かったなと思う。
「泣いてもいいよ」
優しい声。
「お兄さんは?」
「ほっとけばいいの!」
じわり
じわり
「じゃ…また入浴介助で滑ってお風呂に落っこちた話して…」
「も~その話忘れてよ~」
そう言いながらも、杏は話始める。
君の声を焼き付けるように、ケータイを耳に押し付けた。
…ひとりじゃない
そう実感する。