君への距離~クリスマスの奇跡~



ギュッ


翼は後ろから抱きしめられていることに気づいてそっと目を開けた。


「ん…」


どうやらあのまま寝てしまったようだ。



ギュッ,ギュウ

後ろから抱きつく力が強くなる。

前には抱きしめて寝ていたはずの杏がいなかった。



「ん…、杏ちゃ…」


翼が笑って寝返りを打ち、後ろにいた人物を抱きしめた。
(ん?…でかい)


「つ-ば-さ-チャン♪」


そこにはアツシがニヤニヤ顔で横になっていた。



「うわ!」

翼が全力でアツシを押しやる。




「翼ぁ~、大事な女房役にその仕打ちはないだろ?」


アツシがふざけて甘えた声を出す。



「最悪…」




「杏なら陸上の朝練行ったぞ!」



「…ああ」

(そういえば陸上のウインドブレイカー着てたな)




「早く来すぎたと思ったら翼と杏がベンチで寝てんだもんな!


死んでるかと思った!!」



「…はは」



「勇気あるなぁ、学校でこうゆうことすんだから!」



「?」



「野外セッ…」

翼がアツシにスパイクの入ったスポーツバックを投げつけた。




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