君への距離~クリスマスの奇跡~
いきなり駆け込んできたかと思えば、両目いっぱいに涙を溜めて、しばらくするとせきをきったように泣き出したからだ。
周りにはちらほら他のお客さんがいたので、かん吉はカウンターの奥からつながっている自宅のリビングへと杏を連れていった。
「紗香ー、ちょっと店頼む!」
キッチンにいた紗香が振り向く。
「ちょっと!!杏ちゃん?どうしたの?」
「それを今から聞くから!まだお客さんいるんだ、店よろしく!」
かん吉は笑顔で紗香にそう言うと無理やりカウンターへと追いやった。