裸足で君と。
時々、衝動的に春を蹂躙しようとしてしまうときがある。

俺の中に息を潜めているケモノが「俺」を食い破って春を貪ろうとする。


汚らわしいケモノ。


その正体を知っていて尚、春の隣を望む俺はどれだけ賎しく滑稽なのだろう。


君をいくら求めても渇きは治まらず、より一層酷くなるだけなのに。




皮肉なことにこの醜いケモノを衝動的に書き綴じた本が、たまたま知り合いの編集者の目にとまったことが今の仕事に繋がった。

どっかのお偉いさんが偉い褒めて、なんかの賞くれて、名のある作家になった。
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