只今、ミニマム化中につき。
厄菓子につき注意!

_ふあぁ。

やる気の無いため息をついてオレは草原に寝転んだ。

耳に聞こえてくるのは男子学生達がストレッチの為にかけている野太い声だ。

どこかの窓の開いた教室からは数学の新しい公式を唱える教師の声や、黒板を叩くチョークの音が響いてくる。

オレは、アレだ。
はた目から見ればただのサボりだけども、これは大層な病気だ。
(その名も五月病という)

保健室に行っても治る類のものではないので、オレはここに寝転んで最善の自己療法を行っている。

なんせ、オレの頭の中は緊急の混乱状態にある。

だからこそ今、物事を整理して気持ちを落ち着かせなければならないのだ。

「ハァ、んなアホな事があるかよ‥」

オレの頭はどちらかと言えば文系よりも理系寄りだ。
そしてその思考回路も同じ様にできている。

今までの人生、科学的に立証出来る物事にのみ重点を置いてきた。

_そう。修二郎とは違って、オレは至って理論整然と生きてきたのだ。

‥しかし、それにも関わらず事件は起こった。
金欠で腹を空かした修二郎が、高校の裏庭に落ちていた花の形をしたピンク色の砂糖菓子を喜んで拾い食いしたせいで‥だ。

『なにこれぇ!めっちゃウマいんだけど!』

この時のオレの幼なじみの最高に幸せそうなアホづらを、オレは一生忘れないと思う。

ただその時のシュウジには、その″最高にウマい″厄菓子がどんな結果をもたらすかなどは、ちっとも知るよしも無かったのだ。



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