王様と料理人
半分冗談、半分本気。

「でもトーコちゃんは、心ごと全部欲しいんだよねえ。そうじゃないと意味が無いって言うかさ。」

ふぅ、と頬杖をつく。

「では、尚更きちんと謝らねばなりませんね。」

秘書官に諭される。

「んー。リュウ。謁見は全部明日に回して。午後の仕事はナシ。」

「承知いたしました。トーコ様は中庭のハーブ園にいらっしゃいますので。」

「…さっすが。」

「伊達にラウル様に仕えてませんから。」

にこりと笑うそつのない秘書官に片手を挙げ、執務室を後にした。




(ラウル様が謝罪するなんて)
(天変地異の前触れかもな)
(しかしトーコ様も)
(厄介な相手に好かれたものだ)



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