王様と料理人
「まぁともかく、安全に帰る方法が分かるまでは、しっかりラウル様の胃袋のために働きますから。」
「胃袋のため…なんだ。」
王が2度目のため息をつく。
「そうですよ。なんてったって、異世界から来た若い女が、食にうるさいラウル様のお抱え料理人になった!って事で有名になっちゃったんですから。」
ま、一般には知られていないから、この城内だけでの有名人だが。
それでも明らかに話題の的になっていて、最初は妙な気分だった。
「俺を満足させる料理を作れるというだけで、トーコちゃんが有名なんじゃないんだけどねぇ。」
「だけじゃない?」
何だろう?
この世界には滅多にいない黒髪のせいかな?
それとも異世界人自体が珍しいとか?
うーん、でも異世界人は何人か居るって聞いたような気がするし…。
「…ま、その辺はまたそのうちに。ひとまずトーコちゃんの手料理を食べる権利は、俺だけが持っている事でヨロシク。」
ニヤリとした笑みを浮かべながら、ラウル王の手が私の頭に添えられる。
「わかってますよ。他のどなたにも食べさせません。それが条件でしたし。」
なんでこんな条件なんだ、と思ったから忘れる筈もない。
「さて、そろそろ失礼します。まだこの世界の食材が把握できないので大変なんですよ。勉強しなきゃ。あと、夕食のメニューは煮込みハンバーグです。」
「!」
頭をなでていたラウル王の手が止まる。
「は、はんばーぐ・・。」
どうやらこのグルメな美形王がハンバーグ好きらしい、と気付いたのはつい先日。
この世界には『挽肉』というものがないらしく、ハンバーグは衝撃の一品だったようだ。
「やっぱりトーコちゃんは最高!」
わしゃわしゃと頭を撫でられた。
子供かアンタは。
「ハイハイ。ではまた夕食の時に。お仕事頑張ってくださいね。」
「胃袋のため…なんだ。」
王が2度目のため息をつく。
「そうですよ。なんてったって、異世界から来た若い女が、食にうるさいラウル様のお抱え料理人になった!って事で有名になっちゃったんですから。」
ま、一般には知られていないから、この城内だけでの有名人だが。
それでも明らかに話題の的になっていて、最初は妙な気分だった。
「俺を満足させる料理を作れるというだけで、トーコちゃんが有名なんじゃないんだけどねぇ。」
「だけじゃない?」
何だろう?
この世界には滅多にいない黒髪のせいかな?
それとも異世界人自体が珍しいとか?
うーん、でも異世界人は何人か居るって聞いたような気がするし…。
「…ま、その辺はまたそのうちに。ひとまずトーコちゃんの手料理を食べる権利は、俺だけが持っている事でヨロシク。」
ニヤリとした笑みを浮かべながら、ラウル王の手が私の頭に添えられる。
「わかってますよ。他のどなたにも食べさせません。それが条件でしたし。」
なんでこんな条件なんだ、と思ったから忘れる筈もない。
「さて、そろそろ失礼します。まだこの世界の食材が把握できないので大変なんですよ。勉強しなきゃ。あと、夕食のメニューは煮込みハンバーグです。」
「!」
頭をなでていたラウル王の手が止まる。
「は、はんばーぐ・・。」
どうやらこのグルメな美形王がハンバーグ好きらしい、と気付いたのはつい先日。
この世界には『挽肉』というものがないらしく、ハンバーグは衝撃の一品だったようだ。
「やっぱりトーコちゃんは最高!」
わしゃわしゃと頭を撫でられた。
子供かアンタは。
「ハイハイ。ではまた夕食の時に。お仕事頑張ってくださいね。」