王様と料理人
呆れ顔のリュウさんに促され、ラウル王がコーヒーゼリーを一口喉に流し込んだ。

「お。美味い。」

嬉しそうに笑うラウル王。

…良かった。

こういう反応は、料理人冥利に尽きる。

「お気に召しましたか?」

「うん、シンプルで美味しい。トーコちゃんの世界ではよく食べるの?」

「うーん…一般的なお菓子の1つですが、頻繁に食べるかは…。うちでは母がよく作ってくれたので、私にとっては懐かしい味ですが。」

店の仕込みの合間を縫って作りやすかったのだろう、我が家では定番のおやつだった。

「そっか。トーコちゃんちの味なんだ。」

益々嬉しそうに笑うラウル王。

その顔に、少しだけ見惚れた。

なんだ、いつものヘラっとした笑い方以外も出来るんじゃないか。

「ラウル様は家庭料理の方がお好みですか?」

先ほどのチャドさんとの会話も思い出しつつ、尋ねてみた。




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