王様と料理人
「…それは困っちゃうなぁ。」

ス、と離れていく手。

ほっとして、感謝の念を込めてリュウさんを見た。

目が合うと、心得たように頷いてくれる。

さすが常識人リュウさん、心のオアシス…!

「なーに見つめ合っちゃってるのさ。」

アイコンタクトを交わす私達が気に入らなかったのか、ラウル王が間に手を割り込ませた。

「あんまりリュウと仲良くしちゃダメだよ、トーコちゃん。」

私の顎をつかんで自分の方へと向ける。

「トーコちゃんは俺のなんだから。この世界にいる間は、ネ?」

ウィンク付きかよ。

「…わかっています。とりあえず、早く帰る方法を見つけてください。」

可及的速やかに。
光の速さで。
むしろ前王を捜し出してこい。



< 24 / 47 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop