王様と料理人
やがて、恐る恐るサリが口を開いた。

「…トーコちゃん、もしかして自覚ないの?」

自覚ならあるとも。
この居心地の悪さ、このミスマッチ。

「似合わないよねぇ。…せっかくアレコレ仕立ててくださった方には悪いんだけど、今日は自室でのんびり過ごそうかと思って。」

こういう格好は、サリみたいな美少女にこそ似合う。

「…っ!トーコちゃん、何言ってるの!今すぐラウル様に見ていただかなきゃ!!」

なにやら物凄い剣幕で叫ばれ、腕をぐいと引っ張られた。

「…わっ…。」

ふいによろける身体。

倒れる!と身構えたが、いつまでもやってこない衝撃。

そろりと目を開けて確かめれば、腰に回る腕。

驚いた顔つきの3人組。

…あぁ、この腕はまさか…。

「…びっくりしたよー、トーコちゃん。」

やっぱり。

「…ラウル様…。」

途端に、撫で上げられる腰。

「ちょ!何なさってるんですか!」

「う〜ん、トーコちゃんの腰細過ぎ。俺が無茶したら壊れちゃいそう。」

さわさわと撫でられる。

「撫で回さないでください!…てゆーか、無茶したらってなんですか!!」

じたばたしながら再度顔を上げれば、真っ赤になって不自然なほど顔を背ける3人組。

…ご、誤解してる!!

「サリスイルカ!誤解しないで!」



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