王様と料理人
ラウル王のためのアフタヌーンティーのセットを片付け始める。
頭を撫でていた手は、自然と離れていた。
「では、失礼します。」
一礼して退室する。
ラウル王の命令で、私は3度の食事と午後のお茶の際の給仕もしている。
さらには、共に飲食するようにとも言われ、最近ではすっかり王の話相手状態だ。
やたらと触られるのにも慣れつつある自分が嫌だ。
兄もよく頭を撫でてくれる人だったから、あまり抵抗が無いのも問題なのか。
「ま…帰るまでのことだしね。」
うん、そうだ。
それまでのことなんだから、せめてラウル王に恩返しくらいしなきゃいけないかも。
ゆっくり雑談するような相手も暇もないんだろうし。
日々の話し相手くらい我慢するか。
アレだ、要するにボランティアだボランティア。
私が決意も新たに歩いている頃、ラウル王もまた決意を胸に秘めていた事など、私は知る由もなかった。
(逃がさないよ、トーコちゃん)
頭を撫でていた手は、自然と離れていた。
「では、失礼します。」
一礼して退室する。
ラウル王の命令で、私は3度の食事と午後のお茶の際の給仕もしている。
さらには、共に飲食するようにとも言われ、最近ではすっかり王の話相手状態だ。
やたらと触られるのにも慣れつつある自分が嫌だ。
兄もよく頭を撫でてくれる人だったから、あまり抵抗が無いのも問題なのか。
「ま…帰るまでのことだしね。」
うん、そうだ。
それまでのことなんだから、せめてラウル王に恩返しくらいしなきゃいけないかも。
ゆっくり雑談するような相手も暇もないんだろうし。
日々の話し相手くらい我慢するか。
アレだ、要するにボランティアだボランティア。
私が決意も新たに歩いている頃、ラウル王もまた決意を胸に秘めていた事など、私は知る由もなかった。
(逃がさないよ、トーコちゃん)