王様と料理人
『俺のチカラが及ぶのがこの世界だけだからな。その壁を越えた世界については、分からないんだ。』

そうか。
神様にも限界があるのか。

じゃあそもそも、どこの神様の悪戯で私はこの世界に迷い込んだんだろう…。

考え込む私が気落ちしたように見えたのか、ラウリエル様が言葉を続けた。

『チカラになれず、悪いな。その代わりと言ってはなんだが、この世界に居る間は護ってやるよ。』

要するに、神様のご加護?

「ぜひ、お願いします。」

…なんか、願い事とか叶いそうだし。

ついでにラウル王からも護ってもらえると有り難いんだけど。

ぼんやりとそんな事を考えていたら、目の前にラウリエル様の顔が近付いていた。

『目を、逸らすな。そのまま俺の目を見てろ。』

そう言われ、頑張ってラウリエル様を見つめる。

紫がかった不思議な色の瞳を、どれくらい見つめ続けていただろう。

ふと、身体から何かが出ていくような、妙な感覚に襲われた。



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