王様と料理人
「ラウリエル様。」

『…なんだ。』

「ありがとうございました。嬉しい、です。」

お礼を言えば、ふっとラウリエル様の雰囲気が柔らかくなる。

『あぁ。』

ラウル王とリュウさんも、傍らで微笑んでいた。

「ところで。今更なんですけど私、場違いな気がするんですが。」

だって、神殿には私達と白い服の人達しかいない。

来賓がどうこう言ってたけれど、それらしき人達は見当たらない。

おまけにさっきからチクチクと突き刺さる視線。

「…場違いではないんですけどね。」

「神官には衝撃的だったかもね。」

なにやら目配せしあう2人。

「…何なんですか。」

嫌な予感。

「ここ、王家の人間と神官しか入れないんだ。」

「ちなみに私はラウル様の秘書官として1日だけ特別認可を受けています。」

しれっとした顔で話す2人とは逆に、顔から血の気が失せていく。

だって、それってつまり。

「もしかして、私の扱いって…。」

確かめるのが怖い。



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