王様と料理人
「お?」

「え?」

「きゃ!」

慌てふためく気配。

「ハイ、逃げない!皆さんは料理人見学のご一行様ですか?ご自分の仕事はどうなってるんですか?暇なんですか?給料ドロボーですか?」

矢継ぎ早にまくしたてると、扉の影に隠れていた3人がピシっと固まるのが見えた。

…おぉ、直立不動だ。

よくよく見てみれば、私と同じくらいの歳の3人組。

「ご、ごめんなさい!」

勢い良く謝ったのは紅一点の水色ポニーテールの美少女。

「今は休憩時間なんです!噂のトーコ様が見たくてつい…。」

心底申し訳なさそうに言葉を続ける。

「僕も休憩時間。」

小さく手を挙げながら言うのは、青色さらさらロングの美少年。

「俺…給料ドロボーかも…。」

最後に、目を泳がせながら言うのはやんちゃ系赤髪美少年だ。

「…はー…。ハイ、私が噂のトーコです。異世界から来ました。特技は料理です。ちなみにただの女子高生なので、様付けは不要です。」

「「「ジョシコーセー?」」」

え、食い付くとこソコ?

「学生のことです。庶民階級の家庭で生まれ育っている一般人です。」

なるべくこの世界でも通じそうな言い回しで説明する。


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