王様と料理人
浮かれきってすっかり忘れていた。

先ほどの朝食時に挙式云々の噂について問い詰められ、のらりくらりとかわしていたら、彼女の怒りが頂点まで達してしまったらしいのだ。

『…〜もう、料理人に撤することにします!給仕もいたしません!もちろんお食事もお一人でお召し上がりください!!』

そうだ。

確かそんな捨て台詞を吐いて、彼女は退室してしまった。

「うわ…まずい。」

唯一の口説き時間が無くなるのは困る。

ただでさえ、帰る気満々の彼女なのだ。

「リュウ〜、もう実力行使しちゃって既成事実とか作っちゃおうかなぁ。」


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