時をかけた僕等
由梨は一度も着た事のない久吉商業高校の制服に着替えた。


なかなか似合ってんじゃん。


鏡の前に立ちポーズを取る。


こんな事をしてる場合ではない。

愛美を探さなくては。


由梨は再びリビングに戻った。


「お母さんは後から行くから気をつけて行くのよ?」


由梨「お母さん一つだけ聞いてもいい?」


「何よ?」


由梨「アタシって久吉学園高校って受験してないの?」


久吉学園高校は由梨が通っていた高校の名前。


「してないわよ?アンタは久吉商業高校一本だったじゃない」


アタシの脳みそで久吉商業が受かるはずがない。


やっぱり
これはタイムスリップなんかじゃない。



夢を見ているのだろうか?



「早く行かないと電車間に合わないわよ」



由梨は家を後にした。


電車に乗り込むと5年以上も前の記憶が蘇って来た。



朝、アタシと同じ時間の電車に久商乗ってたんだっけ。
それで一目惚れしたんだっけ。

声をかける事も出来ずに3年間が呆気なく終わったな。


無意識に車内を見渡した。


居るわけないか。




「田畑~田畑~」


アナウンスが流れ由梨は電車を降りた。


電車を降りたはいいが
由梨は学校までの道のりを知らない。


改札を出ると運良く同じ制服の生徒が前を歩いていたのでついて行く事にした。




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