僕の頃
「村井慎治。」
「誰それ?」
俺は視線だけを花菜に向けた。
「せやから、5組の転校生!!」
こんな蒸し暑い日に、こんな熱を持って喋る奴を俺は始めてみた。小麦色の細い腕が俺の肩を強く掴んだ。
「めっちゃかっこいいねん!」
「わぁったって!」
「でな、うち、5組に友達おらんから着いてきて欲しいねん!洋太郎くんとかおるやろ?」
「はぁ?なんで俺が・・・。」
「・・・尚。」
急に冷たい目になった花菜は、すっと立ち上がって俺を見下した。
「小学2年生の頃、尚がパジャマで学校来たこと、みんなにバラすで?」
「っ・・・!」
「それからァ!」
ビシっと俺の顔を指差した。
「中1の春の遠足のとき、古墳公園の池に落ちたことも全校放送で暴露したんでェ!?」
「・・・わぁったよ!行けばええんやろ!?」
俺はズボンに着いた塵を払って立ち上がった。