僕の頃
「尚樹!」
「・・・ぉお!」
俺は煙草を踏み潰して目を細めた。丘一面の向日葵と真夏のヒカリが俺達をガキの頃に戻そうとする。
それは無理だろう。
俺はもうおっさんだ。
「ひっさしぶりやなぁ!」
あの頃と同じように優しい笑顔を見せる洋太郎は、色白の顔を緩ませた。
「相変わらずツンケンしよんな〜!」
「してねェよ。」
つられて笑う俺は額に流れる汗をシャツの裾で拭った。
「んなら行くか!慎治が待っとるぞ!」
そう言って空を見上げる洋太郎の左手には菊の花束がある。