君の隣で ーセンセイとアタシー


真っ白なYシャツに新しいシミが出来た

それがあたしの涙だと気づかなかった


「っ……ぅぅっ…」


ベランダにしゃがみこんで泣いた


でもあたしが泣くのは、お門違いなのかもしれない

だって…


「和奏っ!!」


この声はあたしのものじゃないから


背中から伝わる温かい温度



「ごめんっ、ごめんな?」

「……離して」

「え」

「離して!」


あたしを後ろから抱きしめてきたこの腕は、もうあたしがすがって良いものじゃない…



「和奏?」



あたしを呼ぶ声が震えていたのはきっとあたしの願望




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