君の隣で ーセンセイとアタシー
一人で乗るのは初めてじゃなかった
お嬢さまだって知られたくなくて中2のこの時まで電車で通っていた
“痴漢”って言葉は駅構内のいたるところに張っていたポスターに“は犯罪です”とデカデカと書いてあった
でもどこか他人ごとに感じていた
だってこんなあたしを狙う奇特な人はいないって思っていた
その日はひどく混んでいた
いつも一緒の車両だった友だちがその日は別の車両だった
たかが20分くらいなんてことないって……
思っていたのに
あたしが乗り込んで5分もしないうちに手が伸びてきた