君の隣で ーセンセイとアタシー
病室に顔を出したのは以前入院した時に担当して、今では藤咲家の主治医の佐山医師
「……大丈夫かい?」
「…はぃ…」
家族以外であたしが嫌悪感を抱かない人
佐山医師があたしの額に手を伸ばす
「少し熱いね…今日は様子見で一日だけ入院してもらおうかな?」
「はぃ……」
佐山医師は薄く微笑むと頭を撫でてから病室を出て行った
「和奏が運ばれて来たって佐山医師から電話をもらったときは…驚いたのよ?」
「ごめん、なさい……」
お母さんがベッド近くにイスを置いて優しい微笑んできた
「…葵衣さんは?」
「…違うの…先生は悪くない」