君の隣で ーセンセイとアタシー
連れて行かれたのは今月取り壊しが決定していて、普段は立ち入り禁止の旧校舎の屋上
友達の話では密会場所として有名らしい
って、それはまた別の話
鈴村先生はあたしの方を向きながらフェンスにもたれ掛かった
「ねぇ?藤咲さん?」
「はっはい」
お化粧で整った綺麗なニッコリ笑顔なのに、鈴村先生を取り巻くオーラは何かを疑うような嫌な感じ
「まさかとは思うけど、如月先生と付き合ってる?」
「えっ……」
「付き合ってる」を飛び越して「婚約者」なんですけど…
なんて言えるわけもなく
まして「はい、付き合ってます」なんて言えないし…
「…付き合ってはいないです…」
そう答えるしかなかった