君の隣で ーセンセイとアタシー


連れて行かれたのは今月取り壊しが決定していて、普段は立ち入り禁止の旧校舎の屋上


友達の話では密会場所として有名らしい


って、それはまた別の話


鈴村先生はあたしの方を向きながらフェンスにもたれ掛かった



「ねぇ?藤咲さん?」


「はっはい」



お化粧で整った綺麗なニッコリ笑顔なのに、鈴村先生を取り巻くオーラは何かを疑うような嫌な感じ



「まさかとは思うけど、如月先生と付き合ってる?」


「えっ……」


「付き合ってる」を飛び越して「婚約者」なんですけど…


なんて言えるわけもなく

まして「はい、付き合ってます」なんて言えないし…



「…付き合ってはいないです…」



そう答えるしかなかった




< 82 / 345 >

この作品をシェア

pagetop