おそろいのキーホルダー

姫が唄うとき




…────────

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「…なんで」



グラウンドを見下ろしていたあたしは、ポツリと呟いた。



なんで、健ちゃんとあの先輩が一緒に登校しているの?



朝から登校してくる健ちゃんに手を振るため、窓から顔を出してあたしは無意識に表情をなくしていた。


「あ〜あ、浮気か」



ひょい、と横から顔を出しグラウンドを覗くアキ。


「浮気なんかじゃないもん…浮気なんかじゃない…」


自分に言い聞かせるように、呟いて健ちゃんを見つめる。



ねぇ、健ちゃんはあたしを裏切ったりしないよね?




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