おそろいのキーホルダー
「伊川君、食事中にごめんね?…別に大したことじゃないんだけど」
申し訳なさそうに、謝って立たずむかな子さん。
早く出てってよ、と思ってしまうあたしの心は汚れきってしまっているのだろうか?
「いいから言ってみ?」
優しくかな子さんに話しかける健ちゃんに、あたしの心は真っ黒な闇に覆われた。
健ちゃんの言葉にパァッと表情が輝いて、歩み寄ってくるかな子さん。
「見て!飛行機雲!すごくキレイじゃない?伊川君、飛行機雲好きだって言ってたからね…つい教えたくなっちゃったの」
雲をキレイだと言って笑うかな子さん。
あたしとは大違いだ。
健ちゃんが好きになっちゃうのわかる気がするな。
嫉妬や悔しさではなく、納得してしまった。