おそろいのキーホルダー





アキ言ってることが、正しいってわかってたから余計悔しくて悔しくて、こんなことしか言えなかった。



「ほら、本音言ってみろよ」



好きなんだろ、と言ってフンと鼻を鳴らすアキ。



「…っっ好きだよ!今でも大好きっ!でも…健ちゃんは他に好きな人がいて結局フラれちゃうに決まってる!」



悔しかった。



全部、アキはお見通しだったから。



拳を握りしめ、踏ん張って叫ぶ。



涙を堪えるように、口を噛み締めて。



「だから、悔しいじゃない。そんなことになったら悔しい…健ちゃんを好きな分惨めになるの…っ!」



本当は、健ちゃんのためでも、かな子さんのためでもない。



…自分のためだった。







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