巫女が捧げるモノ
「…母様、大袈裟よ。これぐらいの方は沢山いるでしょう?」
「いいえ、いないわ。心雪が…」
「母様、私そろそろ礼拝をしなくてはいけないので」
母の言葉を遮って、礼拝堂に向かう。
何をあんなに焦っているのか。
最近、母と面と向かって話はしていなかったが、今日に限って何故あのように必死なのか。
『あなたは神の愛娘だわ』
さっきの母の言葉を思い出し、自分の髪を一房掴んだ。
真っ黒な…自慢の髪。
神様の力が宿ってるなんて…
信じがたい話だ。