君にゾッコン注意報
俺の真剣さを感じとったのか美緒は
「じゃ、じゃあ帰るね…。」
一言、呟いた。
『……。』
「……。」
無言の空気が流れる。
美緒のカバンを開け閉めし、帰る準備をする音が、やけに数学教師室に響いた。
…何やってんだろ、俺。
今まで、無言な空気だけは俺と美緒の間には流れたことがなかったのに。
まぁ、それは俺がしつこく美緒に話し掛けてたからなんだけど。
とにかく、今はとてもじゃないが、世間話をベラベラ喋れるような…
そんな気分じゃなかった。