偽りの代償
「・・・」

ゆいは何も言わない・・・


「ゆいが許してくれなくても、俺はボランティア続けるつもりだ。それがゆいへの償いになるかは微妙だと思う・・だけど・・俺は信じて欲しいと思ってる・・それから・・再会したときからずっと渡したいものがあった・・」

俺は茶封筒をゆいに差し出す。


「何これ?」

「・・・見て欲しい・・受け取ってほしい、ずっとゆいに返そうと思った・・」



それはお金、五万だった・・・


あのときゆいが俺に投げつけた金・・・。


「・・・・別にいいのに・・もう・・」

「受け取れねぇよ・・ゆいからのこんな金・・」



「じゃああの後どうしたの?」


「自分の小遣いと親からの前借りで何とかした・・・」




「・・・私の値段はこんな五万だったんだ・・・賭けをされてるってわかったときの気持ち、わかる?」



「・・・・・」



「信じて裏切られるときの苦しみは・・・蔑まされるよりも苦しいんだよ・・・だから・・・・もう信じたくない・・」



ゆいはもう・・俺を信じてくれないのか?
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