偽りの代償
それから俺はゆいとこれまでのことを話した・・


ゆいが死んだと言われ、仮死状態なのに死んだと誤解した俺がどれだけ毎日絶望したかを黙って聞いてくれた。



「ゆい・・こうして生きていてくれてよかった・・・俺の所為でゆいが死んだとずっと思ってた・・何の償いもしてないのに、どうすればいいのかわからず、ゆい以外誰も好きになれずにいたんだ・・俺なんか生きてる資格すらないとさえ思ってた・・」


「海君・・・でも・・こうして会えたわ・・生きていてよかったわ・・」


「なぁ・・いつか両親に挨拶にいっていいか?嫌われてるけど認めてほしいんだ・・何年かかっても・・」


「ありがとう、海君・・でも充分よ・・あなたは私に対して贖罪の気持ちをずっともっていてくれた・・それでいいの・・もう私に縛られることないわ・・」



「何言ってるんだ?」


「違う人をすきになってもいいわ・・」


「何だよ、何言ってる!」


「私・・結婚はできないわ・・子供を産めないの・・」




「そんなことか・・俺はゆいさえいればいいよ・・この数年ずっとゆいだけだったんだ・・亡くなったと思った君がこうして生きていてくれた・・それでいいよ・・」


「ずっと傍にいてほしい・・結婚が駄目なら・・同棲でもいい・・ゆいがそばにいるだけでいいんだ・・」


海は抱きしめた・・強く・・


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